リレーエッセイ/第4回

スタートライン

操山高校吹奏楽部OB会 活動活性化の経緯 −番外編−

吉見一成 平成元年卒


昔話である。今でこそ当たり前の携帯電話とメールであるが、私がOB会の事務に携わり始めた頃は、家庭のパソコンが「その気になれば」「なんとか」インターネットに接続できる時代であり、携帯電話は徐々に普及していたものの、単体でのネット接続の機能はなく一般的にはタダの電話に過ぎなかった。パソコンやその周辺機器もまだまだ高価で、私が自前でネットに接続できる環境を一度に整えることは経済的に難しく、本体やモデムの購入、プロバイダとの契約など、少しずつ段階的に進めていた。個人的な趣味での使用の他に、もしかしたらOB会の事務作業にパソコンやメールが役立つかも知れないと思っていた。

どうにか自分のパソコンをネットに接続する環境を手に入れた私は、当時既に大阪で活躍していた三浦克介氏に電子メール(当時、メールはアタマに「電子」とか「E」をつけるのが一般的だった)を送ってみた。記憶が定かでないが、もしかしたら送る前に「これから電子メール送るから!」と電話したかも知れない…。メールの練習(?)は相手が遠方であればあるほど楽しかった。距離に制約されない瞬時のやりとりが新鮮な驚きであった。(チャット的な使用で喜んでいた、笑)OB会の通信を郵便葉書から電子メールへシフトしたいという事務方の目論見はこの頃芽生えたのである。つい最近のようで実は10年前(平成6〜7年頃)のこと。

しかし、インターネットの一般家庭への普及は予想以上に進まず、OB会の通信は依然として郵便に頼らざるを得ない状況であった。平成9年の創立100周年記念演奏会実行委員会立ち上げの頃は、i-mode を始めとする、携帯電話でのネット接続が世間の注目を集め出した時期であった(と思う)が、それらを含めてもインターネットを実際に使っている人はまだ少なく、一部を除き出演者とスタッフの募集にかかる通信の殆どが電話と郵便であったと記憶している。平成11年夏に予定されていた本番まで、準備のために費やした通信料は相当な額であった。

100周年記念演奏会が無事終了しOB会が正式に発足し、すぐに表面化したのは通信費捻出の問題である。およそ700枚の往復葉書が必要なOB会の案内作業が年2回あるのだ。会計担当から毎回のように悲鳴が聞こえてきた。これはメール利用者が増えた今でも解決されておらず、年間数百枚の往復葉書代が支出されている。この問題に対処するため、事務局では会員のメールアドレスの収集に努めた。往復葉書の返信にアドレスを記入してもらい、それをパソコンに入力し、次回の案内からは楽々一発メール送信で葉書代激減!となるはずが、実際にはそううまくいかない。登録された携帯電話のメールアドレスの変更や、ドメイン拒否による送信不可がかなりの頻度で発生した。迷惑メール対策のためと思われるが、夏に届いたメールが冬に届かず…といったケースが続出し、メールが送信できない人には、結局葉書を送ることになり、大した節約にならないばかりか、逆に手間と時間がかかる結果に…(泣)

広報用にHPを作ろうという話が出てきて、見様見真似で作ったのは平成13年頃だが、最初はヒドイ出来であった。一年ぐらい試行錯誤したが、やはり一人じゃ無理だと三浦氏に泣きつき、「こんなの作りたい!」って言ったモノがどんどん実現していった。WEB上での出欠管理システムは事務方(幹事)にとっても、参加する人にとっても素晴らしいツールであり、事務効率と参加率の向上に、非常に大きく貢献している。また最近のHP上では、ちょっとした打ち合わせなども可能であり、特に今回(第5回)の定期演奏会(SWEET CONCERT)の準備にあたっては、普段忙しく、実際に集まって事前の相談が出来ないスタッフにミーティングの場所を提供した。技術に偏るわけではないが、進歩と普及が著しい最近の通信技術をOB会に積極的に取り入れることは、悪いことではない。特に全国各地や海外に居住する「遠距離会員」が圧倒的に多い我々OB会にとって、日頃のコミュニケーション不足を技術がカバーしてくれるなら、それは素晴らしいことだと思う。これらの技術とシステムを導入・管理し、更に日々コンテンツを進化させている三浦克介という人は、物凄い人物である。技術も凄いがそれだけでなく、OB会に対する強い思いやりに満ちあふれている。

HPはまだまだ発展の可能性を秘めているが、そのためには大勢の参加が重要である。例えば、予定表の機能を現役生が利用すれば、練習計画・日程の公開が可能であり、現役にとっても、訪問を予定しているOBにとっても便利であろう。HPは携帯からの閲覧と書き込みも可能なのだ。是非一度試してもらいたい。OB会主催の PukiWiki(現在のHP管理システム)教室開催なども面白い。夏のOB会を利用して、現役にも参加してもらうのだ。ちょっと敷居が高く感じる PukiWiki も、みんなで楽しみながら覚えれば実は簡単なのだ。誰でもHPの編集ができるようになる。

OB会は、過去十数年の様々な試行錯誤を経て、事務的にはようやく軌道に乗りつつある。これから先は、如何にして多くの参加を促すことができるかが本当に重要である。離ればなれの普段はHP上で、夏と冬のOB会では実際に出会える場で、本当の意味で楽しめる有意義な場所を提供できたらと切に思う。定期演奏会等、現役生への支援ももっと充実させたい。

最近の若手OBの活躍も嬉しい。みんな本当にありがとう。

やっとスタートラインに立てた気がする。

編集後記

吉見樣、寄稿ありがとうございます。おまけに、下名めを褒めちぎって頂き、首筋のあたりがこそばゆい気分です :)。

  • 吉見一成 氏
    • 平成元年卒業。パート:バスクラリネット。OB会事務局発足時から数年に渡り事務局員を務められ、本Webの初代管理人をされていた。100周年記念演奏会の立ち上げに果たされた役割は計り知れず、現在も、影からOB会の運営を支えてくれている。ちなみに、ご夫人も操山高校吹奏楽部のOBである。
[三浦克介](../../e4b889e6b5a6e5858be4bb8b)